「床付き」タイプのガレージを建てる方は、ブロック基礎の「水平出し」を忘れずに実施しましょう。
【床付きタイプ ガレージ設置イメージ】
水平に見える地面が高低差10cm以上!?という事も珍しくないため、基礎の「水平出し」は最低限の事前整備と言えます。
【高さ不揃いの基礎の上にガレージを建てる弊害】
- 屋根・壁からの雨漏り。
- ガレージ本体の転倒。
- シャッターや扉の開閉不良。
基礎が凸凹だと建物が歪み、最悪は短期間で倒壊します。
基礎の水平出しのやり方は簡単で、「あんこ盛り」というテクニックを使い、基礎の高さを揃えていきます。
【あんこ盛り】
あんこ盛りとは、コンクリートブロックの下にモルタル(コンクリート)を流し込み、ブロックの上面を水平にするテクニックです。
本記事で、床付きタイプのコンクリートブロック基礎の水平出しのやり方・ツール・アイテムなどを解説していきますので、興味をお持ちの方は、参考にしてください。
なお、「ちょっと面倒だな」・「外構ってこれっきりやらないな」と思われる方は、業者の方にお願いしても、結果的に余計な工具・材料を揃えなくて済む分、安い&満足度の高い仕上がりになるのでおすすめです。
ちなみに、水平出しはそこそこの精度でも効果絶大です。
ガレージも長持ちしますし、ざっくりとでもよいので実施は強くおすすめしますね。
- バイクガレージ程度の大きさだと、素人のざっくり精度でも充分な効果があります。
- 少なくとも、わたしは自分でやったおかげ(?)で、歪みや水漏れといったトラブルとは皆無です。
- 本記事はわたし個人のやり方で、効果・施工の安全性を保証するものではありません。
- 実施される際には自己判断&責任で行ってください。
❶床面積と同じサイズの垂直な長方形を地面に描く
地面に床の輪郭線を描く方法
ブロック高さを揃えるにあたり、ブロックを置く位置を決めたいので、まずは床の輪郭線を地面に描きます。
ちなみに、垂直な長方形を描くのは意外と面倒で難しいので、今回はわたしがいつも利用する「輪っかで輪郭線を作る」方法を紹介します。
わたしが良く使うのは、1本の紐と4本の釘で床面積モデルを作り、地面にレイアウトしていく方法です。 配置変更も簡単ですし、垂直な四角形作りも造作ないので、イライラしないと思います。 ❶ 釘付きの輪を作る ブロックを配置する床の、辺の長さの両端に釘をくくり付け、最終的に4本の釘が結ばれた輪を作ります。 ①から順番に距離を測りながら釘を括り付けていきます。 ➋ 基準点から対角線をのばして基準の2点を決める まず①の位置を決め、地面に釘を刺して固定します。 続いて、対角線にある②の距離を ピタゴラスの定理 で算出し、②の釘も算出した距離の地面に刺して固定します。 ❸ 残った2点を伸ばす 最期に、残った2点を 2辺の紐がたるまない位置で固定すると、正長方形が出来上がります。
必要ツール&アイテム
この工程で必要なツール・アイテムは次の通り。
● 水糸
丈夫な糸です。
何度も使わないなら、100円以下の安価なポリエチレン製でも十分です。
●防草シート用 釘
しっかりと地面に刺さる、長めの釘が良いですね。
合計4本程度なので、ホームセンターなどで、バラで購入した方が安上がりです。
● カッターナイフ
● メジャー
➋ブロック上面の高さの決め方・線(水糸)の引き方
高さを揃えるには、立体的な目印が必要です。
空気に線はかけませんから、空間に糸を張ることで、水平位置の基準線とします。
杭を打つ
糸を張るために最初に行うのは、糸を結ぶための杭を打つことです。
杭は、揃えたいラインの面に沿わせるように打っていきます。
まずは取説を見て、メインフレームの位置を確認しましょう。
【メインフレームの確認】
以下のモデルだと、4辺と中央の2本が、床を支えるメインフレームです。
全ての床フレームが漏れなく乗る位置にブロックを配置できるように、位置を決めていきます。
四角い杭を使うと、紐の結び方で線の両端の位置をコントロールできます。
杭に紐を結び方で、線位置をコントールできる。
上記図面をもとに、わたしは次の様に杭を打ちました。
【水糸を貼る杭の場所と水糸の位置】
黄色点線:水糸の位置です。
敢えて、ブロックのキワに水糸を張っていますが、水糸は高さの目安にするものなので、平面位置は多少ズレても問題ありません。
水糸を貼って基礎面を引く
続いて、基準となる基礎の高さに水糸を張っていきます。
水糸とは、ブロックの上面にあたる高さを、空間に引くためのど派手な糸です。
ちなみに、杭に高さをマーキングする「水盛り」と呼ばれるテクニックは、技術も道具も必要なので、個人的にはおすすめしません。
【水盛り】
水盛りとは、サイフォンの原理を使った、一定の高さをマーキングする方法で、バケツと透明のホースを用います。
やり方
- バケツに貯めた水をホースで吸い上げます。
- 管の途中まで水を吸い上げたら、一旦止めます。
※水の入ったバケツは動かさず、ホースの水とバケツの水が繋がっている状態を保つと、気圧の関係でホース内の水は、一定の高さを維持し続けます。 - 上記の原理を利用し、ホースの水位を基準高として、全ての杭にマーキングを行います。
ホースがバケツから飛び出ないように配置したり、ホースの中に水を引き込んだり、ホースが捻じれたり、水をこぼさないように注意したり…と、面倒やテクニックも多く、慣れないと失敗します。
10㎡程度の水平位置なら、レーザー墨出し機を使った方が、はるかに正確で時短になり、おすすめです。
水糸を貼る位置は、ブロックの上面(高さ)です。
打ち込んだ杭は、色んな高さ(標高)になっているので、地面の根元は参考になりません。
墨出し機や水盛りで割り出した最高所(標高地点)から、13cm~15cm程度上位に、水糸を張っていくのがおすすめです。
レーザー墨出し機を使うと、全ての杭を一気にマーキングしてくれるので、全体の中での最低ライン・最高ラインも一瞬で分かり、とても楽ですね。
高さのラインが決まったら、水糸を杭に結んでいきます。
水糸は、杭に鋸で切り込みを入れてから紐を巻き付けると、高さがズレません。
決定した2点間へ糸を張ることで、水平な高さの直線を空間に引いていきます。
\水糸を引いたイメージ/
必要ツール&アイテム
この工程で必要なツール・アイテムは次の通り。
● 水糸
● レーザー墨出し機
10㎡程度の水平位置なら、一発レーザー照射で一気にマーキングできる優れもの。
墨出し機は、他にも室内インテリアの高さ揃えや、水平にパネルを貼っていくとき等にも使えて便利です。
● 墨出し機 三脚
墨出し機専用の、水平ゲージ付きのミニ三脚。
なくても良いけど、有ると安定度が増す。
● 杭
50~60cm程度の角材なら何でも良いです。
先を斜めにカットすれば、杭になります。
❸ブロックの高さを水平に揃える
あんこ盛りのやり方
ブロックの上面を水平にするために、あんこ盛りという技法を使います。
あんこ盛り自体はシンプルな作業で、初心者でも簡単にできます。
あんこ盛りは、モルタルの上にブロックを置き、ハンマーを使って水糸のラインまでモルタルを押し潰しながら、狙った高さに揃えるテクニックです。
❶ モルタルを地面に置く
緑の点線がモルタルのイメージです。
❷ モルタルの上に、コンクリートブロックを置く
❸ ハンマーで叩いて水糸のラインまでブロックの上面を下げる
ハンマーで叩くときに、力は不要です。
コンッ!コンッ!と軽く叩いていきます。
一気に水糸ラインまで下げ切る必要はありません。
ある程度下がったところで、水平器を使い、前後左右のブロックと水平を取りながら仕上げていきます。
ある程度下がったら、隣り合うブロック間に水平器を置き、水平位置を微調整していきます。
【隣のブロック間で水平を取る図】
前後左右にブロックがあれば、隣り合ったブロック間に水平器を置いて、水平位置を出して(高い位置をハンマーで叩いて下げる)いきます。
最期に、ブロック単体での水平位置をチェックします。
【ブロック単体の水平を取る図】
ブロックの中心に沿って、縦と横に水平器を置き、水平位置を最終調整します。
硬化前のモルタルは、ブロックの自重で潰れるほど貧弱ではありませんし、力を入れないと潰れないほど強力でもありません。
- モルタルをやや多めに盛り、優しく潰していくのがコツです。
あんこ盛り 参考動画リンク
『あなたのお宅を素敵にするお店』 さんより、あんこ盛りの分かりやすい作業動画が公開されています。
作業雰囲気と手つきが参考になりますので、興味のある方はこちらもご覧ください。
引用:岐阜の外構工事専門店『あなたのお宅を素敵にするお店』 公式HP http://www.ex-gifu.com
補足:モルタル作りと注意点
モルタルは、最低でも10kg程度の量を作っていくのがおすすめです。
初めて触る人だと、おっかなびっくり、2~3kg程度をちまちま作っていきがちですが、余裕で足りませんし、疲れます。
わたしは、このブロック基礎の水平出しが、初めてのモルタル作業でした。
15個のブロック調整(6㎡床)で、およそ30~50kg程度は使ったように思います( ゚Д゚)。
なお、ある程度の量が必要なので、割高なインスタントモルタルの利用はおすすめしません。
【おすすめしないインスタントコンクリート(モルタル)】
インスタントコンクリート(モルタル)は、水だけ混ぜればモルタルを作れる、便利アイテムです。
数kg程度なら使い勝手も良いですが、あんこ盛りに使うには、お値段も手間も割高ですね。
また、モルタルは ホームセンターから素材単位で購入するのが、最もおすすめな購入方法です。
モルタルの材料は、砂・コンクリート・水です。
川砂とコンクリートを単体で入手しましょう。
\ホームセンターに行こう!/
砂やコンクリートは重量商品なので、上記リンクのような通販は激高ですが、ホームセンターだと、30kg程度でも1.5千円以下で購入でき、遥かに安いです。
必要ツール&アイテム
この工程で必要なツール・アイテムは次の通り。
● ゴムハンマー
金づちを使うと、コンクリートブロックが砕けます。ゴムハンマーかプラスチックハンマーが良いです。
● 水平器
できるだけ長いものが良いです。
● パワーミキサ
モルタル作りに必要です。手でこねるのは結構大変です。
● バケツ
パワーミキサ―を使う時には、深めのバケツがおすすめです。
● 左官ごて
モルタルを盛るときに、有ると便利です。
● 川砂
モルタルの材料です。ホームセンターで買いましょう。
ちなみに、海砂はコンクリートの劣化を早めるので、必ず川砂を使います。
● セメント
モルタルの材料です。ホームセンターで買いましょう。
❹モルタルの乾燥時間と余ったモルタルの廃棄方法
乾燥期間とその間のメンテナンス
モルタルは、硬化すると相当な強度を持ちますが、完全硬化するまでには時間が掛かります。
- モルタルの完全硬化期間:1週間。
- メンテナンス:乾燥し過ぎないよう、適度に打ち水をしたり、乾燥を防ぐためにビニールをかぶせる。
ちなみに、モルタルの硬化は乾燥ではなく、水との化学反応によって起こります。
むしろ、完全硬化までは乾燥を防ぎ、乾燥しているようであれば打ち水をするなど、充分に湿らせる必要があります。
- モルタルは、乾燥しても固まらない。
- モルタルは、水と充分に反応させることで固まる。
余ったモルタルの廃棄方法
余ったモルタルは再利用できませんので、ガレージ下などに散布するのが最も安楽な廃棄方法です。
大きな固まりにしたくなければ、薄めに塗布しておくと、硬化後に簡単に砕け、そのうち砂利になります。
なお、次の対処はNGですから、やめましょう。
● 排水溝に流す
モルタルは、水に沈めても固まります。
排水溝を復旧不可能なほど詰まらせる可能性があります。
● 花壇などにまく
モルタルは強アルカリ性です。
花壇などにまくと、植物が枯れる可能性があります。
● 再利用する
一度混ぜると再利用はできません。
未使用のセメントは、しっかり封をしておけば、使えます。
まとめ
床付きタイプのプレハブガレージも、可能な限り水平な基礎上に建てるのが理想です。
きちんと基礎を作っておくことで、ガレージ自体の寿命も延びますから、ぜひ、手間をかけましょう。
なお、コンクリートブロックの水平出しは、緻密な精度やテクニックを要求されない初心者向けの作業です。
【コンクリートブロック 水平出し 作業レベル】
- 水平出し作業の難易度:易しい。
- 作業の精度:ざっくりでもよい。
- 作業ツール:モルタル作りの専用工具が必要で、汎用性はほぼない。
難点は、モルタル作りの道具や素材に、汎用性がないことですね。
わたしもDIYはしますが、モルタルを使う機会はそうありませんし、コストと手間を考えると、基礎の水平出しのみ or 組立までは、外構業者さんに委託してもよいかなと思います。
以上、床付きタイププレハブの、コンクリートブロック水平出しのやり方でした。
これからガレージライフを始めたい方の参考になれたらうれしいです。